2020年、原油価格は下落を続けており、3月には20ドル台まで下落しており、17年ぶりの安値をつけていますね。
その原油はガソリンなどの原料になる他、商品先物として取引されていますし、その価格の動向が株価や為替などにも影響を及ぼします。
そんな生活に密接に結びついている「原油」がFXに及ぼす影響について、この記事では解説していきたいと思います。
目次
FXにも影響を及ぼす原油について
原油とは
油田から掘り出したままの状態を「原油」と呼びます。
原油を精製することでガソリンを始め、灯油、重油、軽油、プラスチックの材料などになります。原油は現代社会において欠かすことのできない資源となります。
また、原油は世界経済において影響を与える重要な商品である為、その原油の価格について世界中から注目を浴びています。
原油の単位
原油の量の単位は「バレル」です。1バレルとは160リットル弱です。バレルとは英語で「たる」をさし、昔は原油をたるで運んでいた為、バレルという単位が使われるようになりました。
原油を産出する地域
原油を産出する地域は世界でも限られており、主に北米(アメリカ)、北海(欧州)、中東(アジア)の3箇所で産出し、それぞれの地域で取引市場があります。
原油先物取引
3つの原油取引市場で、原油価格の指標となっている主な原油について解説します。
・ブレント原油(欧州)
・ドバイ原油(アジア)
WTI
WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)とは、米国のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油のことです。アメリカ国内で産出される原油の6%で世界で産出される原油の1〜2%ほどを占めています。
WTIは、株価との相関が強く、米国の週間石油在庫統計と同じくらい、株価にも反応します。
WTIの価格は世界の原油価格の中で最も有力な指標であり、他の取引市場の原油価格にも大きな影響があります。
実際のWTIの一日あたりの産出量は少ないですが、WTI先物の一日あたりの取引量はとても多い為、WTI価格の変動は世界経済に大きな影響を及ぼします。
日本においても、「原油価格=WTI先物価格」として取り扱われています。
ブレント原油(北海)
主に、イギリスの北海にあるブレント油田から採鉱される原油です。
ドバイ原油(中東、アジア)
ドバイ原油とはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで産出される原油のことを言います。
ドバイ原油は、中東産油国においてオマーン原油のスポット価格との平均を基準に、日本を含むアジア向け原油価格を決めることが多くなってきます。
しかし近年は、ドバイの産油量は減少していることがネックとなり、アジア市場の原油価格でも、ニューヨーク原油先物市場(WTI)の影響を受けやすくなっています。
原油産出国の生産量ランキング
世界で原油の産出量が多い地域は上記でも述べたように、中東・北米・北海となりますが、国別ではどこで一番生産量が多いのか?ということについて解説します。
1位.アメリカ合衆国
2位.サウジアフリカ
3位.ロシア
3位以下の国については、以下の表のようになります。
単位:100万トン(Mt)
原油って中東で取れるんじゃないの?
以前までは、サウジアラビアが原油生産量1位を誇っていました。
しかし、近年アメリカによるシェールオイルの増産により、ランキングが変動し2014年にはアメリカ合衆国が1位となっています。下記でまた解説しますが、2006年以降「シェール革命」と呼ばれる技術革新が起こり、アメリカは世界最大の原油産出国となりました。
しかし地域別にみると、まだまだ中東での原油生産量が多い為、世界中の約30%ほどは中東で生産されています。
原油価格へ影響を及ぼす材料
原油価格は、他の先物商品と同じように需要と供給のバランスによって決まります。
特に供給面での原油価格への影響は大きいです。そこで、需給のバランスが原油にどう影響するかについて解説していきます。
需要
需要の大きな要素は、世界経済です。世界経済が好調であれば、需要は増えていきます。
各国の経済が落ちこみ、需要が減少すると価格も下落します。逆に経済が上向いてこれば、需要が増え価格も上昇します。
IEA(国際エネルギー機関)によると、「石油需要は2030年以降は横ばいになる」とし、「25年までは需要の伸びは力強いが、その後はわずかになる」と発表しました。これは、今後電気自動車やクリーンエネルギーの自動車などが普及する為、石油の需要はこれから下がっていくだろうとの見込みのようです。
供給
供給面では、各国の生産量によって左右されます。
生産量に関しては、OPECやシェールオイルの生産量などが絡み合ってくることから、様々な要因から原油価格へ影響を及ぼしてきます。その為、原油価格を決定する要因について解説していきたいと思います。
原油価格を決定する要因
原油価格を決定する要因は複雑化しており、それを予想することの難しさを意味しています。
原油価格を決定する要因は大きく3つに分けられると思います。
・OPECの協調減産とシェールオイルの生産量
・世界経済の停滞、各国の金融政策
・中東紛争等の地政学的リスク
OPECとシェールオイル
OPEC(石油輸出機構)
石油輸出国により構成されるOPECは、世界の原油生産量のうち約4割を占めており、加盟国が協調し需給バランスを調整することで、市場への強大な影響力を持っています。
OPEC加盟国はサウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、ベネズエラ、カタール、リビア、・アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、アンゴラの12カ国となっています。
OPEC総会は年4回(3,6,9,12月)行われ、原油価格の維持や需給バランスの調整の為、原油の生産量などを決めています。
近年では、アメリカのシェールオイルの増産による需給バランスの変化などで、原油価格を維持できす非OPEC加盟国(ロシアなどが代表国のOPECプラス)が加わったことで、OPECの影響力は少なくなっていました。
シェールオイル
シェールオイルとは、地下深くの硬い地層に含まれる原油のことです。
米原油生産の約7割がこの「シェールオイル」となっています。
このシェールオイルが2006年以降の技術革新により、米国での生産量が増えました。(「シェール革命」と呼ばれる)
2014年ついに、サウジアラビアを抜いて、米国が世界一位の原油生産国となっています。
このシェールオイルの増産がOPECの影響力を弱めることになり、原油価格の下落に繋がっていきました。
OPECとアメリカ(シェールオイル)とロシア
これまでは、「原油といえば中東」だったんですが、アメリカが2006年以降起こした「シェール革命」でシェールオイルの生産量を増やしたことにより、原油の需給面のバランスと価格に大きな影響を及ぼすようになりました。
2014年の夏以降、シェールオイルの増産による影響で、原油の過剰な供給となり、原油価格は下落していきました。
これを受けて2016年12月に、OPECとロシアなどの非OPEC加盟国(OPECプラス)が協調減産することに同意しました。
その為、原油価格は上昇していきましたが、2020年コロナウイルスの感染拡大による不況と、サウジアラビアの原油増産などがあり、原油は17年ぶりの安値を更新するなどの大幅な下落を記録しました。この背景には、ロシアが減産期間の延長に反対したことへの反発やアメリカのシェールオイル業界を潰す為などと言われています。
・OPECが中心となって、世界の原油価格は決まっていた
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・アメリカの「シェール革命」により、世界中の原油の需給バランスが崩れる
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・原油価格が下落(2014年夏頃〜)
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・原油価格維持の為に、OPECによる協調減産(2016年)
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・原油価格が反発し上昇
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・2020年、OPEC総会で協調減産延長の合意に至らず(ロシアが反対)
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・「サウジブチ切れ」で増産発表し、価格競争の様相を呈し、原油価格暴落(20ドル台)
経済と原油価格
原油は経済と密接に繋がっており、価格の上下により様々な影響をもたらします。
例えば、原油価格が高騰すると「消費国」にとっては、物価の上昇や企業収益の悪化、投資減退などの影響をもたらしました。一方、原油価格の下落は、物価下落、家計の負担軽減などでプラスの影響をもたらしますが、世界的なマクロ経済にとっては悪影響となることが多いです。
日本においては、原油はほとんどが輸入に頼っている為、原油価格というのは安い方が経済にとって好都合と言えます。業種別にいっても、日本の主要産業の自動車においては、圧倒的に原油安の方が業績が良くなります。
一方で新興国の中でも鉱物資源輸出に依存する経済構造を持った「資源国」では原油安になると、景気の減速が強まってしまいます。一部の資源国では輸出のみならず、財政でも資源関連での収入に依存している為、経常収支悪化に加え、財政収支でも悪化することが懸念される。
また、「米ドル高だと原油安」になると言われており、米国の金融政策などで米ドルの価値が変動すると、原油にも影響が出てきます。
中東の地政学的リスク
中東では、世界の30%ほどの原油が生産されています。その為、中東の地政学的リスクは、原油価格の急騰・急落につながる要因となります。
中東で紛争等が起こり、地政学的リスクの高まりを受けると、原油供給が今後減少するのではないかという懸念で原油価格が高騰します。
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